2016年5月27日金曜日

ブーダン



Boudin  :

「ブーダンとは、本来、豚の血と脂肪を豚の腸に詰めた腸詰め。
黒ブーダン(Boudin Noir)は、豚の血と背脂の賽の目切り、玉葱のみじん切りを塩コショウ、生クリーム、香辛料とで十分に混ぜ合わせ、ポシェしたもので、黒い色をしている。
白ブーダンは、仔牛、鶏、兎、豚肉などのような白身の肉、豚脂に、バター、生クリーム、牛乳、卵などを加えてすり身にしたものを腸詰めしたものであり、血が入っていないので白い色をしている。
フランスでは、ナンシー(Nahcy), ストラスブール(Strasboug)、リヨン(Lyon)、パリ、 オーベルニュ (Auveregne)地方、ノルマンディー(Normandie)地方などをはじめとして、色々なところで独特のおいしいブーダンがつくられ、それを活かしたブーダン料理、ブーダン風料理がある。《後略》 」 -----------「仏和料理事典」より。


豚の血のソーセージなんて、日本人にはかなりハードルの高そうな代物ですが、案外美味しくいただける一品。もちろん、レバー料理と一緒で、調理によって美味しいのと美味しくないものの格差も激しいので要注意。私は運良くブーダン初体験がとても美味しかったので、つい見かけたら買ってしまいます。(好き嫌いって、ちょっとした初体験の味できまったりするんですよね。)

「一物全体」という言葉があります。「食材は、なるべく全体を頂きましょう」ということで、例えばお魚の場合、身を食べ、皮も食べ、頭や骨(種類によっては皮)等の食べられないところも煮出して出汁をとりお吸い物にすることでその栄養価を享受できる=全てをいただいたことになるのでそうしましょう、という教え。健康の為にも、食べものを大切につかう為にも有効なことを、4文字で表現できるなんて、漢字文化圏に生まれてよかった。

無駄にしない食べ方、欧米人だって、これをちゃんとやっているではないか。四つ足バージョンになるとちょっとグロい印象になるかもしれないけれど、エッセンスは同じこと。肉文化と魚文化の違いにすぎない。

このブーダンやパテも、考えようによっては「あら炊き」みたいなもの。スパイスやハーブを上手に使って、素晴らしいお料理に仕上げていて、フランスの食文化の奥行きにただただ感服するばかりです。


さて、所変わってアメリカで、スクラップルというお肉の加工品を食べたことがあります。ホルモンや皮などのクセのある部位を細かくして塩コショウ味とスパイスで臭みを消し、ミートローフのように固めたものでしたが、脂っこいながら、意外とイケました。
おフランスのパテとは異なり、まさにお肉クズの「スクラップ」的料理。
コレ、昔は奴隷労働の黒人たちの食べものだったらしい。こういった部位は、白人の食卓の「お下がり食」だった訳ですね。キモや豆などを美味しく食べる工夫は、アメリカ南部の巧みなスパイス遣いのお料理たちに幾何かの影響があったかも知れません。



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