2016年4月22日金曜日

夏みかんの皮の砂糖漬け

(写真:Akiko Shigetake)
                            
毎年今時分に作る甘夏柑の皮の砂糖漬け。
すっかり風物詩となっています。
ライバルは、光國本店の「萩乃薫」(なんちゃって)。
萩は今頃夏蜜柑の収穫に追われているころでしょう。
毛利のお殿様が萩を離れ、時代も維新を迎え、城仕えしていた武士たちへの救済措置として、夏みかんの栽培が奨励されたといいます。だから、市内あちこちの武家屋敷敷地内にまで夏蜜柑の木が植えられていて、今も実を付け花を付けしています。
夏みかんは、橙(代々)の一種。実がついたまま花を咲かせ、5月はまさに、夏みかんの木は二世代住宅状態。萩の町も、みかんの花の香りに包まれます。
広島・瀬戸内も、みかんで有名でみかんの花が咲き乱れますが、主に島のみかん畑でのこと。町中が香りに包まれるというのは珍しいことかもしれません。
そんな風情をイメージすると、素朴なピールの砂糖漬けにも、ちょっと気取らせてあげようかという気持ちになってきました。
チェ・ジェホさんの白磁の高足杯に、お座りいただいて・・っと。
甘さの中に微かにのこる苦み、中国種のスプリングダージリンもよく合います♡


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ちなみに、11月に準備するフルーツケーキには、この夏みかんのピールが入ります。
これから作るのは約半年間冷蔵庫で眠って頂きます。




2016年4月18日月曜日

薬膳の真髄 食事会 

(遅ればせながらのレポート)
三寒四温の寒の戻りの頃。3月12日。
薬膳10周年の企画として、知味 竹爐山房(吉祥寺)の『薬膳の真髄 山本豊の中国料理を味わう会』無事催行。

「薬膳の真髄」としたのは、山本シェフが薬膳の実践であった宮廷料理・古典料理に造詣の深い方であること、山本シェフのお料理へのアプローチが、薬膳には欠かせないエッセンスであることを、常々感じてきたからです。

薬膳の基本はスープ!として、NHK教室では昨年1年間、スープに取り組んできました。
「煎じる」という概念は、紀元前一千年前には既に見出されていたらしく、当時(殷代)の「庖人」であり宰相の伊尹(いいん)により『湯液経』という書に記されているのだそう。

スープは、いってみれば食材の煎じ液。この発想は、火を使い煮炊きを始めた文明の発展と同じくらいにすごい気づきだったかもしれません。同時に、これは全ての健康食の根っこの部分。料理のベースとなるスープや出汁を丁寧に取ることは、薬膳そして全ての料理にとって大切な行程です。そして、スープを取る素材もその具材も、生命力のある食材であること。これらはシェフの言うところの「素材の氣」。氣のある食材を適切に調理し配することが根幹なのです。
シェフの言葉を借りるなら「火を入れても新鮮(素材を殺していないこと)」であり、「味が迎えに来る」タイミングを大事に気を配り、「自然界の“氣”を調理する」ことが、薬膳=本格中国料理なのです。

また、山本シェフの菜譜(メニュー)には、スープが3カ所に組み込まれ、胃を温め開くスープ、胃を洗うスープ・・といった風に、体に優しい構成となっていました。
何を食べるかも大切ですが、どう頂くかにも心配りされており、五味、五畜、五菜等を調和よく配したお料理の数々が最良の順番で次々と供されるのです。
当然、すっかり気をよくした私達の胃袋は、全開(!)w

実は、昨今の食について、懸念を感じる点があります。
それは「健康病」などという言葉で語られていることでもありますが、栄養や食べものの効能についてのうんちくが独走し、消費者は、溢れる情報に振り回され、五感を使うこと無くとかく頭で食に向かいがちだということです。
いくら「○○(食材)は、コレコレに良い」と効能を証されていても、氣の宿らない食材では、その効能は如何ほどのものやら。根っこのところがないままの「なんちゃって薬膳」になってしまいます。また、営利目的の健康情報のひとつとして「薬膳」という言葉を使われているとしたら、それもちょっと不本意。
そもそもの食べもののもつ気/エネルギー(生命力)を何より大事に考えること、自分の体を知り、食べものとの健全な向き合い方があってこその薬膳。

根っこの部分をしかと踏まえた山本シェフの料理哲学が、食の原点、薬膳の基本だと大いに共感し「薬膳の真髄」と名付けた次第。

欲張りな要望-----宮廷料理(古典料理)らしさ、ハレの食材、季節感を、上手く盛り込みまとめて下さって、オマケに三不粘(サンプチャン)というシェフ泣かせのデザートまで加えて頂き、大感激でした。
シェフ、本当にお疲れ様でした!!

体は正直。
翌朝、皆の「あんなに食べたのに、体が軽い!」「朝ご飯も美味しくいただけた!」と言う声続出。これを聞いて「伝わった! 食事会、大成功!」と、確信した次第。

料理人さんも世代交代していき、時代のニーズに合わせて料理も変化してはいきますが、受け継がれる中に一貫して流れる普遍性をこれからも探し続けたいと思っています。


戦後日本の中国料理を牽引してこられた重鎮・山本豊シェフの料理解説

山本氏と私は10周年!

同じく出会いから10年の料理研究家 冬木れい先生
現在江戸料理をテーマにご活躍

日本中医学会理事  猪越恭也先生  会心の笑顔

写真家で茶人の菊地和男先生の極品茶も・・・!
(お道具も素敵!!)

2016年4月17日日曜日

「能に親しむ会」Vol.2

密かな広島自慢にしているMUNI Carpets 広島ギャラリーでのお能に親しむ会。

喜多流能楽師の大島衣恵さんを講師にお迎えし、グッと近い距離感でお能のいろはに接する機会です。

1月に続き第2回、「日本人の美意識とは何ぞや」という思いを呼び覚ます時間にもなってきたように思います。古典芸能に触れ、参加者の中に着物姿もちらほら・・・。

そんな方々の集まりにお出しするお茶とお菓子。
脇役の茶と茶菓子なれど、〆の大切なひととき。

そんなひとときのお手伝いをさせていただくことになり、私にとっては、楽しくもチャレンジングな機会となっています。

大島先生とギャラリーオーナーの高橋さんという、ダブル・ハンサムウーマンの醸し出す空気感にあやかり、すっきりクール&モダンな演出を心掛けている次第。

古典の楽しみのひとつは、その中に見いだせる普遍性。
お料理の中にもそんな要素を大切にしたいと思います。


葉桜のイメージで、ポルボロンと薄氷を。(写真:Akiko Shigetake)



情念の熟成具合によって変わる、小面(こおもて)-----増女(ぞうおんな)-----曲見(しゃくみ)-----深井(ふかい)-----姥(うば)-----泥眼(でいがん)・・・

そしてなれの果ては・・・

角が出る!?(般若/はんにゃ)


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翌週、福山の喜多流能楽堂での定期公演へ出かけてみました。
「草紙小町」の小野小町は・・・もちろん「小面」で登場でした(笑)。





2016年4月10日日曜日

5月の健美膳


餃子道場、カレー道場に続き・・・初・「お魚道場」!

お魚の三枚おろしにチャレンジしましょう!
お魚大国日本に暮らす日本人として、これはもう「たしなみ」と言えるかもしれません。
上手く出来たら、益々お料理が楽しくなりますよ♪

  【内容】
   ●お刺身  ←盛りつけ方がポイント♪
   ●アラで赤出汁
   ●さつま揚げ ←失敗しても大丈夫! ねりモノにしちゃおう!
   ●極上のお揚げでつくる黒糖いなり
   ●デザート
   ●美味しい日本茶

   日時:2016年 5月7日(土)、8日(日)10:30~14:30

2016年4月9日土曜日

旬到来! 岩国あさり 


濃い旨みと肉厚感たっぷりの岩国あさり。
今年も出始めました!
蛤並の旨みで、お吸い物にも・・・・!

今日は浅蜊の出汁だけで、あさりごはんにして頂きます。
具も最小限に、玉葱とパセリのみ。

黒胡椒を振りかけて、一丁あがり♪


2016年4月7日木曜日

エッグタルト

綺麗なキツネ色の仕上がりではなく、素朴感たっぷりに、
焼き色を付けたバージョンの方が、私を含め皆の好みでした


ポルトガルから伝わったエッグタルト。
伝わったのは・・・ポルトガル領になった16世紀のマカオ。

日本には、なぜエッグタルトではなくカステラ(正確にはパン・デ・ローという名)?

タルト生地を作りながら出した答えは、きっとマカオにはバター代わりになるラードがあったけど、日本では一般的ではなかったから。

バターを使ってより洋菓子らしく仕上がっているものも多いですが、ラードが醸し出す独特のサクサク感、私は結構好きなのデス。沖縄のちんすこうも、好きなお菓子のひとつ。

ポルトガル人がマカオで母国の味を求めたとしたら・・・卵と砂糖とラードで最も手軽につくれたお菓子。それがエッグタルトなんじゃないだろうか。
牛乳は、日本同様当時の中国では入手が難しかったから、牛乳を使わずに作れる餡。

インド洋を経由してマカオにやってくる道中、当然ポルトガル領のセイロン(スリランカ)に立ち寄っているでしょうが、その頃のセイロンは、まだ紅茶の産地ではなくコーヒーの木が・・・!エッグタルトのお供はコーヒーだったかも。

ここでは、中国文化圏としてのリスペクトを込めて、中国紅茶とセットで頂いてみました。

古の葡萄牙人、いかがですかな?