2015年3月2日月曜日

パン・デピス Pain d'épice

Pain d'épice=パン・デピス→パン・ド・エピス=スパイスのパン(お菓子)


初めて名前の響きを聞いたとき「わお、悪魔のパン!?」と思ったものです(それは「デビル」か・・苦笑)。

20年前、ブルゴーニュのディジョンで、ズシリと重いレンガのようなパン・デピスに出会いました。アニスの香りが効いたその代物は、なんとも力強く、おおいに惹かれました。

で、さてコレ、パンなのかお菓子なのか。

ディジョン中央市場の近くの食堂で食事をしたとき、パン・デピスがお肉料理に添えられて出てきました。以来、しばらくは私の中ではその名の通り「パン」に位置づけられていましたが、パンとお菓子の境界線は曖昧であることに気がつくのにはさほど時間はかかりませんでした。
ちなみに「パン・デピス」が初めて文字で定義された17世紀の辞典『アカデミー・フランセーズ』には「ライ麦と蜂蜜と香辛料で作られるケーキの一種」とあるそう。
そのルーツを探ると、東ヨーロッパへ…東方へと世界が広がります。

フランスの著名な食と歴史の専門家マグロンヌ・トゥーサン=サマの言葉を借りれば「パン・デピスの道はシルクロードと同じぐらい重要」で、そのルーツは10世紀の中国を支配していた宋王朝の蜂蜜と小麦粉の滋養食なのだとか。それが、伝播の途中でスパイスが加わり、ヨーロッパにたどり着きパンの型で焼かれたとき「パン・デピス」になった(!)。
その形がパンと言わしめているお菓子なのかもしれません。

パン・デピスは、ケーキ屋さんとパン屋さん両方で出会えます。
ちなみに、このパン・デピスは市内のパン屋さんのもの。
ケーキ屋さんによくある蜂蜜の一部を砂糖に代えたエレガントで優しい仕上がりのものも魅力だけれど、私のイメージにあるパン・デピスには、パン屋さんで出会うことが多いです。

ちょっと日本的に優しいスパイス使いでした。


ブルゴーニュ・ディジョンの街角で、量り売りされるパン・デピス。


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